今月の窓:都市保全と再生の戦略的統合(下)  長谷部 俊治(法政大学社会学部教授)
 前号で述べたように、イタリアでは、都市保全の手法が段階的に発展し、都市の保全と都市の再生とを戦略的に統合する取り組みに至っている。その発展を整理すると次のとおりである。ただしこれらは具体的な計画や事業においては重なりあっていて、截然と区別できないことに注意して欲しい。また、文化財保護が徹底していないとチェントロ・ストリコの保存再生は難しいし、チェントロ・ストリコの保存再生に取り組む経験があって初めて保全と再生を効果的に統合することができるなど、相互補完関係にあることも見逃してはならない。
 さて、保全と再生の戦略的統合という考え方は、チェントロ・ストリコ保存再生の限界を解消し、行き詰まった都市政策を転換する方向を示した。ただ一方で、歴史的文化的アイデンティティ、「場所の記憶」、戦略的で統合された計画などの極めて抽象的な概念を含んでいて、その具体化のためには多大な作業と困難・障害の克服を覚悟しなければならない。また、抽象的な価値の保全と、現実に起きている深刻な問題とを結びつける筋道を示すことも容易ではない。
 しかしこの考え方は、研究者ではなく現実の都市問題に直面している建築家や都市計画担当者の取り組みのなかから形成されたものであって、抽象度が高いのは、直面する問題が複雑であることや保全手法が多様であることの反映である。ローマ大学のパオラ・ファリーニは、「歴史のあるがままの姿を残すのではなく、羊皮紙の重ね書きのように古い建物に新機能を付加することで、都市に活力を与える可能性を開く」と述べているが、保全と再生の統合を支えるのはそのような認識である。
 保全と再生の戦略的統合の考え方を大幅に取り入れたのが、2003年に完成したローマ市都市基本計画である。同計画は、歴史的文化的アイデンティティとして「歴史都市」を提示し、チェントロ・ストリコだけでなく、郊外や農地についても歴史的な保全をベースにして再生することを目指す。そのための戦略として、a) 個々の都市空間の質的な価値を評価し、その質を保全し高めること、b) 機能的なゾーニングからの決別、コミュニティの主体的な活動の活発化、歴史の文脈に沿った空間の保全・形成など保全を主軸にしたしくみを構築すること、c) 都市構造をかたちづくる区域(戦略的都市地区)を選定し、その再生のための事業を展開することによって計画を牽引すること、などを定めている。
 特にユニークなのは、テッスート・ウルバーノの性質に着目して地区を類型化し(機能分担に応じてではない)、その類型に応じて、建築行為などをコントロールするためのルール(たとえば建物ファサードの色彩や形態に対する規制など)を定めたことである。このルールは、次の二つの道具によって支えられている。

ⅰ) 質の調査書carta per la qualita:場所ごとに、古代から現代にわたって蓄積された事物の現在の
  姿を示す図書で、場所についての質的な診断結果が記載されている。

ⅱ) 歴史回復のための介入指針disciplina degli interventi di recupero nella “Citta storica”:
  建物の維持補修、修繕、改造、建替えなどに当たっての具体的な介入の進め方を示した図書で、
  建築許可の際の許可基準と連動し、建築規制のための法的基準としても機能する。

 このルールは強い私権制限を伴う。そして、この制限について市民の合意が得られているのは、歴史的価値を尊重する態度が共有されていること、歴史的資産の活用による経済的利益が大きいことだけでなく、イタリアに根付いている二つの伝統が人々の信頼の基盤となっているからである。
 その伝統とは、1)建造物が帯びている歴史的な意味(文化財としての意味だけでなく、景観や社会的機能の視点から浮かび上がる意味を含む)を解読し、それに照らしながらプロジェクトをかたちづくること(都市を読む技術)、2)対象物について、現在に至るまでの時間経過のなかで生じた様々な変化・改変を把握し、分析したうえで、何を除去し、補強し、付加するかを判断して介入すること(修復技術)である。
 このような保全手法による都市再生は、成熟社会での都市活性化のプロセスとして注目に価すると考える。しかし、保全手法が有効に働くためには、社会的な基盤として歴史的な蓄積を尊重する伝統が不可欠である。その伝統がないまま手法のみを導入しても根付くことは難しい。近代化に向けた開発手法は一定の普遍性があり、人工的にシステムを構築すれば機能する。しかし保全手法は、プロセス重視、全体性の尊重、価値のバランス確保、固有性の鍛錬のような特質があることからわかるように、社会の性質を強く反映するからである。
 日本では、中心市街地の活性化政策がほとんど成果なしに終わったのを受けて、保全手法による都市再生が試みられているが、技法のみを導入しても開発手法のヴァリエーションに終わる。そして、保全手法が活きるための基盤づくりは、経済的成長一辺倒の価値観からの転換を伴う。これは容易ではない。近代化のもとで失われた伝統を修復することは果たして可能なのか、を問わなければならないのである。
月例経済報告/金融経済月報
  月例経済報告 (内閣府・9月19日) 変化* 金融経済月報 (日本銀行・9月5日) 変化*
景気基調  景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。

 先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。
 景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。

 先行きについては、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとみられる。
民間消費 持ち直しの動きが続いているものの、このところ足踏みがみられる。 雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、耐久財以外の分野では駆け込み需要の反動の影響も徐々に和らぎつつある。
設備投資 増加傾向にあるものの、このところ弱い動きもみられる。 企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。
住宅投資 このところ減少テンポが緩やかになっている。 駆け込み需要の反動減が続いている。
雇用 着実に改善している。 着実な改善を続けている。
生産 消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響もあって、弱含んでいる。 基調として緩やかな増加を続けているが、足もとでは弱めの動きとなっている。
国内企業物価 このところ上昇テンポが鈍化している。 消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、3か月前比で緩やかに上昇している。
消費者物価 緩やかに上昇している。 消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、前年比は、1%台前半となっている。
* 前回からの変化:上方修正、下方修正、据え置き
景気動向指数(平成26年7月)
 平成26年7月のCI一致指数(改訂値)は前月より 0.6ポイント高い 109.9ポイントとなり、4ヶ月ぶりに前月を上回った。CI先行指数は 2ヶ月続けて上昇し、105.4ポイントとなった。
 景気の基調判断(CI一致指数)については、「足踏みを示している」を据え置いた。
 ・CIの推移
GDP速報(実質季節調整系列)
年率表示・10億円 四半期・前期比
国内総生産(支出側) 525,251 -1.8%
[年率換算]   [-7.1%]  
  民間最終消費支出 305,247 -5.1%
   うち家計最終消費支出 297,321 -5.3%
  民間住宅 13,871 -10.4%
  民間企業設備 70,749 -5.1%
  民間在庫品増加 538 -  
  政府最終消費支出 102,402 0.1%
  公的固定資本形成 23,269 -0.5%
  公的在庫品増加 4 -  
  財貨・サービス純輸出 9,941 -
       輸出 88,745 -0.5%
       輸入 78,805 -5.6%
 平成26年4~6月の実質GDP 2次速報値は、前期比 1.8%減 (1次速報値の 1.7%減から下方修正)。

 年率換算は 7.1%減 (1次速報値の 6.8%減から下方修正)。

 この下方修正を踏まえ、GDPの需給ギャップの試算値は、-2.3%となり、0.1%ポイントマイナス幅が拡大した。
四半期別GDP推移
業況判断(DI)*2
前回(26年6月)からの変化
全産業(10,292社) 4%p △3%p
不動産業(391社) 9%p △2%p
   大企業 22%p △10%p
   中堅企業 15%p 3%p
   中小企業 0%p △1%p
 全産業(全規模)の業況判断は、2期連続で悪化。

 不動産業(全規模)の業況判断は、3期連続で悪化したものの、10期連続でプラス水準。

 不動産業の3ヶ月後の先行きは、すべての規模において、今期比で悪化を見込んでいる。
先行き(3ヶ月後)
変化幅 *3
全産業(10,292社) 4%p 0%p
不動産業(391社) 2%p △ 7%p
   大企業 16%p △ 6%p
   中堅企業 5%p △10%p
   中小企業 △ 4%p △ 4%p
業況判断の選択肢別社数構成比
  最近 先行き
  大企業 中堅企業 中小企業 大企業 中堅企業 中小企業
製造業(DI・%p) 13 5 -1 13 5 0
良い 21% 20% 20% 19% 17% 17%
[構成比]さほど良くない 71% 65% 59% 75% 71% 66%
悪い 8% 15% 21% 6% 12% 17%
非製造業(DI・%p) 13 7 0 14 7 -1
良い 21% 18% 18% 19% 15% 15%
[構成比]さほど良くない 71% 71% 64% 76% 77% 69%
悪い 8% 11% 18% 5% 8% 16%
土地投資(平成26年度計画)
前年度比 修正率*4
土地投資額
(全産業)
-18.6% 21.4%
[平成25年度] [18.8%]    
 
 
 
*1 回答期間は 8月27日 ~ 9月30日 / *2 業況判断(DI)は、「良い」-「悪い」%ポイント。判断の分かれ目はゼロ%ポイント。/ *3 先行きの変化幅は、今回調査の業況判断との対比 / *4 修正率=(今回調査の母集団推計値-前回調査の母集団推計値)÷前回調査の母集団推計値×100
  2014年7月判断 前回との
比較*
北海道 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が一部にみられているが、基調的には緩やかに回復している。
東北 消費税率引き上げの影響による反動がみられるものの、基調的には回復を続けている。
北陸 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかに回復している。
関東・甲信越 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。
東海 足もと消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動もみられているが、基調としては回復を続けている。
近畿 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調としては緩やかに回復している。
中国 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているものの、基調としては緩やかに回復している。
四国 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。
九州・沖縄 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減がみられているものの、基調的には緩やかに回復している。
*前回(2014年4月)との比較のは、前回判断に比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いの変化を示し、
前回に比較し景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、となる
不動産業の動向
前月比
不動産業景気動向指数(DI)*1 46.8 p △0.6p
前年同月比
不動産業の倒産状況*1 26 △16.1%
不動産業の負債総額*1 21,563 百万円 △35.2%
 不動産業の業況感は2ヶ月連続で悪化。
新設住宅着工数
前年同月比
新設住宅着工・総数*2 73,771 △12.5%
持家 24,250 △22.7%
  貸家 28,435 △3.8%
  分譲 20,669 △10.3%
  内マンション 10,188 △6.8%
 新設住宅着工数は、6ヶ月連続で前年同月比減。
マンション市場の動向
前年同月比
新築・供給戸数(首都圏)*3 2,110 △49.1%
[契約率] [69.6%] △11.9p
新築・供給戸数(近畿圏)*3 1,217 △39.0%
[契約率] [71.7%] △9.4p
中古・成約件数(首都圏)*4 2,131 △5.8%
平均価格 2,819 万円 10.3%
[㎡単価] [43.7万円] 9.2%
中古・成約件数(近畿圏)*4 1,042 4.7%
平均価格 1,751 万円 2.2%
[㎡単価] [25.0万円] 0.0%
マンション賃料指数(首都圏)*5 107.2 p 0.8%
居住用賃貸物件成約数(首都圏)*6 15,722 △3.0%
 首都圏の新築マンション供給戸数は、前年同月比 49.1%減。7ヶ月連続で前年同月比減。
 近畿圏は同 39.0%減。 9ヶ月連続で減。

 首都圏の中古マンション成約件数は 5ヶ月連続で前年同月比減。
 近畿圏は 5ヶ月連続で前年同月比増。

オフィス市場の動向
前年同期比
オフィス賃料指数
(都心3区・平成26年4~6月)*7
75 p △1.3%
前月比
オフィス空室率(都心5区)*8 6.02 % △0.18p
 都心5区のオフィス空室率は、14ヶ月連続で低下。
J-REIT分配金利回り*9
*1 帝国データバンク(DIは0~100、50が判断の分かれ目)/ *2 国土交通省 / *3 不動産経済研究所 / *4 不動産流通機構
*5 IPD/リクルート:2005年1月=100 / *6 アットホーム / *7 三幸エステート:2000年第1四半期=100 / *8 三鬼商事
*9 不動産証券化協会、東京証券取引所、財務省 (スプレッド = J-RIET分配金利回り - 10年国債利回り)
現在の経営状況*2
前回からの変化
住宅・宅地分譲業 1.7 p △10.0p
不動産流通業(住宅地) 0.7 p △6.0p
ビル賃貸業 5.8 p 5.8p
 住宅・宅地分譲業の経営状況は前期比 10.0p悪化の 1.7p。
 不動産流通業(住宅地)は前期比 6.0p悪化の 0.7p。
 ビル賃貸業は前期比 5.8p改善の 5.8p。
3ヶ月後の経営状況見通し*3
前回からの変化
住宅・宅地分譲業 -10.0 p △1.7p
不動産流通業(住宅地) 1.4 p 5.1p
ビル賃貸業 0.0 p △8.0p
 3ヶ月後の見通しは、不動産流通業で改善。
 
*1 不動産業を営む企業を対象としたアンケート調査をもとに、不動産業業況指数を算定(-100~+100、0が判断の分かれ目)。
  調査時期は毎年1、4、7、10月。
*2 経営の状況={(「良い」×2 「やや良い」)-(「悪い」×2 +「やや悪い」)}÷2÷回答数×100
*3 3ケ月後の見通し={(「良くなる」×2+「やや良くなる」)-(「悪くなる」×2+「やや悪くなる」)}}÷2÷回答数×100

資料:一般財団法人 土地総合研究所「不動産業業況等調査」
平成26年・都道府県地価調査の結果 ~回復の動き広がるも、地方では弱含み~
 国土交通省が全国集計し、発表した「平成26年・都道府県地価調査」の結果によると、全国では、平均変動率が住宅地で△1.2%のマイナス、商業地で△1.1%のマイナスとなったが、マイナスの幅は縮小してきている。そのうち、三大都市圏では、住宅地で+0.5%とプラスに転じ、商業地では+1.7%とプラスの幅が拡大している。地価公示との共通地点で半年毎の動きをみると、東京圏と名古屋圏の住宅地、大阪圏と名古屋圏の商業地では、後半(26年1-7月)の方がやや上昇率が低くなっている。
 都道府県別の平均変動率をみると、住宅地では、東京都が+1.3%プラスと最も高く、以下、宮城県(+1.2%)、福島県(+1.0%)、愛知県(+0.9%)が続く。一方、商業地では、東京都が+2.7%プラスと最も高く、以下、大阪府(+2.2%)、宮城県(+2.0%)、神奈川県(+1.3%)が続く。なお、地方圏では景気拡大を背景にして沖縄県が住宅地、商業地ともにプラスに転じている。最も下落率の高かったのは、住宅地、商業地ともに秋田県となっている。
 三大都市圏では全用途で半分以上(51.5%)の地点が上昇となっている一方、地方圏では1割弱(9.6%)に止まっている。
 なお、特徴的な地点としては、例えば、外国人の別荘地需要等が高まっているとして、北海道倶知安町で住宅地や林地で上昇が顕著な地点があり、また、和歌山県の田辺市内の住宅地は、全国・住宅地で上昇率が10位となる地点がある一方、全国・住宅地で下落率が7位となる地点もみられた。
 全体としては緩やかな回復傾向は継続しているが、各地域、地点毎に地価動向には多様性がみてとれる。
不動産価格指数【住宅】(平成26年6月分:速報)~マンションは18ヶ月連続の上昇、更地・建物付土地は10ヵ月連続の下落~
北海道 東北 関東       北陸 中部       近畿       中国 四国 九州・
沖縄
南関
東圏
東京
名古
屋圏
京阪
神圏
更地等 90.2
[87.3]
86.7
[90.9]
89.3
[89.1]
93.8
[91.5]
98.7
[91.4]
79.3
[86.2]
81.9
[81.0]
86.9
[83.2]
83.3
[82.8]
85.0
[83.9]
82.9
[77.9]
80.2
[75.6]
91.0
[87.5]
マン
ション
  125.5
[129.9]
  (155.1)
[(179.6)]
  114.5
[113.3]
  114.8
[113.6]
  115.9
[113.3]
  (130.8)
[(134.4)]
  112.1
[116.2]
  112.6
[114.8]
  112.5
[115.2]
  112.6
[117.0]
  (126.1)
[(138.0)]
  (106.5)
[(114.1)]
  136.1
[126.6]
 26年6月の不動産価格指数(住宅・速報)は、住宅総合(全国)で90.6、前年同月比で△1.8%のマイナスとなった。また、マンション(全国)では116.2、同+4.8%のプラスと18ヶ月連続でプラス。但し、最高値を更新した5月に比較すると△0.1ポイントのマイナスとなった。一方、更地・建物付土地(全国)は86.9、同△2.4%と10ヵ月連続のマイナス。
 強含みの動きの続くマンションでは、「中部地方」の指数が、13ヵ月振りに前年同月比で△1.2%と若干ではあるがマイナス(同じく「名古屋圏」の指数は、5ヵ月振りに同△1.7%とマイナス)となった。前年6月は伸び率が2桁と高く、その反動的な要素もあろう。
 住宅総合、更地・建物付土地は、弱めの動きが続くが、その中で、「関東地方」の更地・建物付土地の指数が、10ヶ月振りに前年同月比で+0.4%と若干ではあるがプラス(同じく「南関東圏」では7ヵ月振りに同+2.3%のプラス)となり、また、「九州・沖縄地方」の住宅総合と更地・建物付土地の各指数が、同+0.4%、+0.8%と10ヶ月振りに若干ではあるがプラスとなった。
 なお、26年6月の指数(平成20年度平均=100)をブロック別で比較すると、住宅総合では、「九州・沖縄地方」が94.4で最も高く、次いで「関東地方」、「北海道地方」となっている。
(注)ブロック別に2008.4~2009.3の平均値を100として指数化。 ( )書きは、サンプル数が少ないため、参考の値。「更地等」は、地目が「宅地」である更地及び建物付き土地。また、[  ]の数字は、前月(5月)の指数。
日銀発表の企業向けサービス価格指数(不動産賃貸関係:8月速報値)~不動産賃貸は緩やかに上昇~
 日本銀行発表の2014年8月の企業向けサービス価格指数(企業間で取引されるサービスの価格変動を測定するもの)の総平均値(速報値)は102.3で、前月比0.2%の減(前年同月比3.5%増)。不動産賃貸関係では、事務所賃貸は92.6で、前月比0.2%増(同3.5%増)、東京圏事務所賃貸は91.5、名古屋圏事務所賃貸は96.9、大阪圏事務所賃貸は93.3で、それぞれ前月比0.2%の増、0.2%の増、0.0%の横ばい。なお、その他の不動産賃貸のうち、店舗賃貸は、100.0で前月比0.5%増。
注)1.4月には消費税率の改定が行われたが、上記指数は消費税を含むベースで作成されているものである。
  2.日本銀行では、企業向けサービス価格指数の基準改定を行い、6月25日公表分から、2010年基準指数の
    公開を始めた。
2010年平均=100
  事務所賃貸 その他の不動産賃貸
〃(東京圏) 〃(名古屋圏) 〃(大阪圏)   店舗賃貸 倉庫賃貸 駐車場賃貸
2014年
8月
92.6
(90.0)
91.5
(89.0)
96.9
(94.2)
93.3
(90.7)
102.4
(99.6)
100.0
(97.3)
104.4
(101.5)
103.5
(100.6)
2014年
7月
92.4
(89.8)
91.3
(88.7)
96.7
(94.1)
93.3
(90.7)
102.2
(99.4)
99.5
(96.8)
104.4
(101.5)
103.7
(100.8)
2013年
暦年平均
90.0 88.8 94.2 91.2 99.0 97.6 100.7 99.1
2012年
暦年平均
92.1 91.0 96.6 93.0 99.2 98.5 100.4 99.0
2011年
暦年平均
95.4 94.9 96.7 95.8 99.3 98.8 99.9 99.5
2010年
暦年平均
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(備考)1.2014年8月分は速報値であり、その他は確報値。
    2.2014年7、8月の(  )は、消費税を除く企業向けサービス価格指数(参考指標)。
7月の売買による土地所有権移転状況 ~愛知県で再び大きくマイナス~
  法務省の登記統計によれば、7月の売買による土地所有権移転登記件数は、107,369件で前年同月比5.8%減と再びマイナス。首都圏(1都3県)は30,410件で7.2%減と3ヵ月連続のマイナスで、ここ12ヶ月中5回目のマイナス。東京都は11,145件で10.8%減と再びマイナスで、ここ12ヶ月中4回目のマイナス。近畿圏(2府2県)は14,193件で0.5%増、ここ12ヵ月中8回目のプラス。大阪府は6,279件で1.5%減、ここ12ヵ月中5回目のマイナス。愛知県は4,591件で18.0%減と3ヵ月連続のマイナスで、ここ12ヶ月中4回目のマイナス。
 なお、昨年7月は、全国で前年同月比が15.9%増となるなど、高い増加率を示していた。
サービス産業動向調査(不動産業・平成26年6月速報値)~不動産取引業の売上高、2四半期連続で2ケタのプラス~
 総務省発表のサービス産業動向調査(平成26年6月速報)によれば、月間売上高(サービス等を提供した対価として得られたもの(消費税等を含む)で仕入高や給与等の経費を差し引く前の金額)の前年同月比は、「不動産取引業」が+17.8%と7ヵ月連続のプラス、「不動産賃貸業・管理業」は+1.4%と再びプラス。四半期でみると、「不動産取引業」は2期連続で2桁のプラス、「不動産賃貸業・管理業」は2期連続で若干のプラス。
 需要状況DIは、「不動産取引業」「不動産賃貸業・管理業」とも、“特段の変化はない”が引き続き過半以上を占めているが、「不動産取引業」ではDIが-3.3と3ヵ月連続のマイナス、「不動産賃貸業・管理業」ではDIが+0.8と3ヶ月振りプラス。
 なお、サービス産業全体では、月間売上高は前年同月比で+2.7%で8ヵ月連続のプラス、需要状況DIは-1.2と3ヵ月連続のマイナス。
・月間売上高
  不動産取引業 不動産賃貸業・管理業
(10億円) 対前年比(%) (10億円) 対前年比(%)
2014年6月※ 1,297 17.8 1,498 1.4
2014年4~6月平均※   1,193   10.6   1,573   0.4
2014年1~3月平均   1,547   16.7   1,526   1.3
2013年10~12月平均   1,181   -3.8   1,501   -0.3
2013年7~9月平均   1,247   6.2   1,509   -0.4
2013年4~6月平均   1,078   -2.2   1,566   6.0
2013暦年平均 1,208   0.3 1,521   2.2
2012暦年 -   0.1 -   7.4
2011暦年 -   -1.2 -   -14.7
(注)1.H25.1より調査内容が変更されたため、過去の実数値は非表示とした。
     なお前年比は、H24の調査値を調整した値で計算されている。
   2.※は、速報値である。
   3.「不動産取引業」に含まれる主な業種は、建物売買業、土地売買業、不動産代理業・仲介業、「不動産賃貸業・管理業」に含まれる
        主な業種は、不動産賃貸業、貸家業、貸間業、駐車場業、不動産管理業である。
・需要の状況(6月)
  増加した 減少した 特段の変化なし 分からない 需要状況のDI (参考)5月DI
不動産取引業 17.6 20.9 53.7 7.8 -3.3 -2.7
不動産賃貸業・管理業 13.2 12.4 71.1 3.3 0.8 -1.8
(注)主要なサービスの需要量(利用者数、契約数、取扱件数等)について、前年同月と比べた増減である。
「住宅リフォーム事業者団体登録制度」の創設 ~消費者が安心してリフォームを行うことが出来るよう~
 国土交通省は、「住宅リフォーム事業者団体登録制度」を創設し、26年9月1日より施行した。住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことが出来る環境の整備を図るために設けた制度である。登録事業者団体として、(一社)マンション計画修繕施工協会が登録をしている。
第15回の国土審議会の開催 ~会長・会長代理の選任と計画部会の設置を承認、来夏に国土形成計画の最終とりまとめを目指す~
 国土交通省に置けれる国土審議会の第15回の会合が、9月18日に開催された。会長に奥野信宏中京大教授を、会長代理に東京海上日動火災保険の石原邦夫相談役が選任され、国土形成計画等の改定に関する調査審議を行うため、計画部会を設置することが承認された(政策部会は任務終了で廃止)。また、各委員からは、国土のグランドデザイン2050で打ち出された「コンパクト+ネットワーク」の考え方を評価するなど様々な意見が出された。なお、計画部会では、本年12月を目途に、国土形成計画の中間とりまとめを行い、その上で、平成27年夏頃を目途に最終とりまとめを行い、国土審議会に報告することとされている。
(公社)全日本不動産協会が「第50回全国不動産会議」を開催
 (公社)全日本不動産協会は、10月22日(水)に愛媛県県民文化会館において第50回全国不動産会議を開催する。「中古住宅流通活性化に向けて」等のシンポジウム・基調講演が予定されている。
10月に適用される住宅ローン金利の動向 ~大手銀行の長期固定金利は上昇へ~
 大手銀行は10月の住宅ローン金利を引き上げた。三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は10年固定型最優遇金利を0.1%引き上げて年1.30%に、みずほ銀行と三井住友信託銀行は0.05%引き上げてそれぞれ年1.25%、年1.05%とした。りそな銀行は年1.30%に据え置く。なお、9月の住宅ローン金利は、長期金利(新発10年物国債利回り)が一時0.5%を割り込んだことを受け、過去最低の水準となっていた。
改正宅地建物取引業法の施行期日の決定 ~来年4月1日より施行~
 平成26年の通常国会で、宅地建物取引士への名称変更等を定める宅地建物取引業法の一部を改正する法律が成立したが、その施行期日を定める政令が9月26日に閣議決定され、27年4月1日より施行されることが決まった。
「東京都長期ビジョン(仮称)」の中間報告の公表
 東京都庁から「東京都長期ビジョン(仮称)」中間報告が公表されている。主な目標としては、
  • 臨海部と都心を結ぶBRT(バス高速輸送システム)を2019年度に導入。
  • 2020年までに、虎ノ門地区に日比谷線の新駅、バスターミナルを設置。
  • おおむね10年後(2024年頃)までに、高齢者の多様なニーズに応じた施設やすまいを確保する。都営住宅・公社住宅の建て替えによる創出で、今後10年間に30haを施設整備の候補地として確保する。
    1. 特別養護老人ホームを5万5千~6万人分(2013年度末の3~5割増)確保。
    2. 認知症高齢者グループホームを2万~2万3千人分(2013年度末の2倍超)確保。
    3. サービス付き高齢者住宅を2万戸以上(2013年度末の4割増)確保。
  • 2024年までに、都内の乗降客数3,000人/日超の全ての駅で、出入り口からホームまでを段差なく移動できるルートを確保。
注)意見募集は9/26まで
26年8月の全国企業倒産状況の結果 ~不動産業の倒産件数は本年最多~
 東京商工リサーチから「平成26年8月の全国企業倒産状況の結果」が公表された。これによると、8月の倒産件数は727件(前年同月比△11.2%減)、負債総額は1,357億円余(同△18.3%減)であり、そのうち、不動産業は、件数ベースでは、本年最多の38件となり、前年同月を3ヵ月連続で上回った。負債総額も大型倒産のあった1月を除くと本年最高であるが、前年同月比では4ヵ月連続で下回っている。
平成26年8月の全国ビジネス地区のオフィス市況 ~全都市で空室率が低下~
 三鬼商事から「26年8月の全国7都市のビジネス地区の最新オフィス市況」が公表された。これによると、全国7都市(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡)のオフィス空室率は、最も低い東京で6.02%(前月比△0.18%低下)、最も高い仙台で10.97%(同0.34%低下)となっており、全ての都市で前月(7月)よりも空室率が0.12%から0.40%程度低下している。
赤坂一丁目地区の市街地再開発事業に着工 ~溜池山王駅と直結する連絡路・連絡広場も整備~
 新日鉄興和不動産から「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業の着工」が公表された。これによると、同社が事業協力者・参加組合員として参加している上記再開発事業について、26年9月9日に工事に着手し、平成29年4月の竣工を予定している。
千葉県庁の9月補正予算案 ~県内の工業団地造成の早期着工~
 千葉県庁から「平成26年度9月補予算案」が公表された。これによると、「県内経済の活性化」「安全・安心の確立」「子育て支援・福祉・医療の充実」のために緊急的に取り組むべき事業を補正予算案として計上しているとのことである(補正予算額152億円余)。その一つとして、茂原、袖ケ浦の県内2ヵ所の工業団地の早期分譲を図るため、予定を前倒しして、26年度後半から造成工事に着手することとしている。
10月は土地月間 ~豊かで安心できる住みよい社会を築いていくために、皆さんも是非一度土地の有効利用について考えてみませんか。~
 10月は「土地月間」、10月1日は「土地の日」。国土交通省から「土地月間」について、本年の行事内容等が公表された。
広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針の決定 ~利用者の利便性向上~
 広島市から「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針の決定」が公表された。路面電車の進入ルートを高架とする駅前大橋ルートによる南口広場の再整備に取り組みこととされている。合わせて、路面電車を環状で結ぶ循環ルートの整備を予定している。
「あ・きてん福岡」の始動 ~政令市初の試み、民間団体と市役所との連携~
 福岡市役所では、既存の商店街などの活性化に向けて、中小企業・小規模事業者の振興の取組みを進める一環として、福岡県宅建協会、福岡県商工会議所と連携して、宅建協会が管理保有する不動産情報ネット「ふれんず」上で、商店街周辺の空き店舗情報、その空き店舗の立地する商店街の情報を掲載した福岡市商店街特集サイト「あ・きてん福岡」を始動。平成26年9月2日よりスタートしている。
安倍総理大臣の所信表明演説 ~第187回臨時国会がスタート~
 会期を9月29日から11月末までの63日間とする第187回国会(臨時国会)が開会し、安倍総理大臣が所信表明演説を行った。内容は、災害に強い国づくりなど6項目よりなり、最後に、「「地方」の豊かな個性を活かす。あらゆる「女性」に活躍の舞台を用意する。日本の中に眠る、ありとあらゆる可能性を開花させることで、まだまだ成長できる」旨を述べている。
まち・ひと・しごと地方創生法案の国会への提出 ~基本理念や総合戦略の策定~
 政府は、9月29日の閣議で、「まち・ひと・しごと創生法案」と「地域再生法の一部を改正する法律案」を決定し、国会に提出した。前者の法案は、まち・ひと・しごと創生本部の設置やまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定などを定め、後者の法案は、地域再生計画における認定手続・提出手続きのワンストップ化や農林水産業振興のための第6次産業化に係る施設整備の場合の農地転用許可の特例などを定めているものである。
休み方改革ワーキンググループの開催 ~秋の連休の大型化等の実現に向けての課題検討~
 内閣府は、ワーク・ライフ・バランスの推進、生産性の向上・地域活性化に向けた課題と具体策について、「休み方」の観点から検討する「休み方改革ワーキンググループ」の第1回の会合を9月26日に開催した。経済財政諮問会議の委員である高橋進氏(㈱日本総合研究所理事長)が座長。主な論点としては、「1.ワーク・ライフ・バランスの推進、生産性向上等の観点から、働き方とともに休み方を見直すことの必要性・重要性」「2.秋の連休の大型化等を実現する上での課題」「3.休み方・働き方を向上させるその他の施策」が挙げられている。地域や企業からのヒアリング等を行った上で、10月24日の第4回会合では「報告書素案」を議題とする予定とされている。
安倍総理大臣の米国訪問 ~対日投資の呼びかけ~
 安倍総理大臣は、9月23日に米国・ニューヨークで行われた「対日投資セミナー」に出席し、その挨拶で、アベノミクスはいよいよ第二章に入り、その中心は豊かで元気な地方の創生であり、日本の地方には大きなポテンシャルを秘めており、それを発揮させるため、様々な規制改革に着手した旨、述べている。また、25日には、内外記者会見で、特色ある日本の「地方」にこそ、「投資のチャンス」があり、和歌山県知事、京都市長、十日町市長、美作市長と共に、日本の魅力あふれる「地方」のアピールを行った旨、述べている。
安倍総理の都内での講演 ~消費税率引き上げや地方創生問題への言及~
 安倍総理大臣は、9月19日、都内の「内外情勢調査会」で講演した。その中で、消費税率の引き上げ問題について、11月中旬には7~9月期のQE(GDPの四半期速報)が発表されるが、それを待つことなく、少し早めにマクロ経済分析の専門家、有識者から意見を集中的に伺う場を設け、年内に判断をしたい、との考えを述べると共に、地方の創生について、都会から来てもらうという発想での問題解決は難しいとして、そうではなく、「地方にこそ、チャレンジがある」と若者が感じて、自ら飛び込んでいきたいと思うような地方を創り上げることが、地方創生であるとの考えを述べた。
米FOMC声明で円下落 ~一時、1ドル109円台に~
 アメリカ連邦準備制度理事会は、9月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、QE3の資産購入プログラムを次回の会合(10月)で終了する意向を示した。政策金利(FFレート)は、資産購入プログラムの終了後も「相当な期間」にわたり事実上のゼロ金利政策(0~0.25%)を維持するという表明を据え置いたものの、委員が予想する2015年末のFFレートの中央値は、6月の1.13%から1.38%に上昇し、市場の「利上げ時期が早まる」との見方を裏付ける内容となった。これを受けて、アメリカの金利先高観から、ドルが買われ、円安が進行し、一時期は109円台後半まで円が下落した。8月の半ば頃は1ドル102円台辺りで推移していたが、このところ、急激に円安・ドル高が進んでいる。
スコットランドの独立を問う住民投票 ~反対55%で独立せず、自治権拡大の動きへ~
 イギリス(連合王国)からの独立の賛否を問う住民投票がスコットランドで行われ、反対55%、賛成45%で独立しないことが決まった。投票前の世論調査では、独立賛成の割合が増え、反対を上回ったものもあったが、結果として、連合王国にとどまる結果となった。今後は、連合王国内での自治権の拡大が焦点となるとされている。
全国町村会が人口減少対策で有識者懇談会を設置 ~地方創生へ国の政策へ提言目指し~
 全国町村会は、地方における少子高齢化や人口減少について、町村における対応方策、国の政策のあり方を探り、町村会の主張に反映させるため、「人口減少対策に関する有識者懇談会」を設置し、9月16日に第1回の会議を開催した。座長に選任された大森彌・東京大学名誉教授は、「農山村地域が今後も持続できるような地域づくりについて検討してまいりたい」と述べた。
8月の全国スーパー売上高の状況 ~前年に比べ0.1%のマイナス~
 日本チェーンストア協会から26年8月のチェーンストア販売額が公表された。これによると、販売金額は約1兆575億円で、前年同月比(店舗調整後)は△0.1%のわずかなマイナスとなった。大半を占める食料品で+1.0%の増となり、衣料品の△3.6%のマイナスを補った格好。天候不順の影響で衣料品等が影響を受けたとされる。
8月の全国百貨店売上高の状況 ~天候不順のマイナス要因あったものの秋物好調で回復~
 日本百貨店協会から26年8月の全国百貨店売上高概況が公表された。これによると、売上高総額は4,272億円で、前年同月比(店舗調整後)は△0.3%の若干のマイナスとなった。5ヵ月連続でのマイナスではあるが、7月の場合と比較して2.2%ポイント改善している。不安定な天候の影響で半ばまでは低調に推移していたが、下旬からの気温低下で秋物需要が盛り上がったことや日曜日が1日多かったことなどが影響し、ほぼ前年並みの水準となった、とされている。
平成25年「雇用動向調査」の結果 ~就業者の割合が離職者の割合を超過~
 厚生労働省から「平成25年『雇用動向調査』の結果」が公表された。これによると、入職率は16.3%(前年比+1.5%ポイント増)、離職率は15.6%(同+0.8%ポイント増)となり、6年振りに離職率を入職率が上回った。16の産業分類別では、「建設業」「不動産業、物品賃貸業」など11産業で入職率が超過となっている。
26年7-9月期の法人企業景気予測調査の結果 ~企業の景況判断は改善の動き~
 内閣府・財務省から「平成26年7-9月期の法人企業景気予測調査の結果」が公表された。これによると、「貴社の景況判断」について、「上昇」と回答した企業の割合から「下降」と回答した企業の割合を差し引いた値(BSI)をみると、前期(4-6月期)は大企業・中堅企業・中小企業いずれもマイナス(下降が超過)であったが、今期は大企業・中堅企業でプラスに転じている。また、中小企業はマイナスであるもののその幅は縮小している。なお、次期(10-12月期)の見通しでは、中小企業のうちの「製造業」は若干であるがプラスとなっており、「非製造業」でも若干のマイナスとなっている。
平成25年の東京都観光客数等実態調査の結果 ~外国人観光客による経済波及効果は30%以上の大幅増~
 東京都庁から「訪都旅行者数等の実態調査結果」が公表された。これによると、平成25年の1年間の観光入込客による経済波及効果は、生産波及効果としては、11兆3,331億円と推計され、前年比で+11.7%の大幅増となっている。内訳としては、都内在住者によるものが約3.9兆円、道府県在住者によるものが約6.2兆円、外国在住者によるものが約1.3兆円とされ、特に外国在住者による効果は前年比で+31.7%の大幅増となっている。
WAW!Tokyo 2014 公開フォーラムでの安倍総理のスピーチ ~女性が輝く社会をつくる取組み~
 安倍総理大臣は、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」でスピーチをし、企業経営に女性ならではの視点を持ち込み、新たな付加価値を社会に提供することができること、企業で働くだけでなく、新しいビジネスや社会貢献活動に乗り出す元気な女性も多くみられることなどに触れ、女性がいつでも夢にチャレンジできる社会を実現すべく、10月に「全ての女性が輝く政策パッケージ」を取りまとめると述べると共に、この変革を世界に広げ、女性も男性も、誰もが輝く地球を実現しなければならないと述べた。
「まち・ひと・しごと創生本部」、「まち・ひと・しごと創生会議」の初会合の開催 ~東京在住者の移住意向の調査結果も公表~
 政府は9月12日に、第1回「まち・ひと・しごと創生本部(本部長:内閣総理大臣、副本部長:地方創生担当大臣及び内閣官房長官)」の会合を開き、地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服するための基本目標、検討項目等を定めた「基本方針」を決定した。この基本方針では、「(1)若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現」「(2)「東京一極集中」の歯止め」「(3)地域の特性に即した地域課題の解決」を基本的視点において、「3(1)検討項目」として「①地方への新しい人の流れをつくる」「②地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」「③若い世代の就労・結婚・子育ての希望のかなえる」「④時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守る」「⑤地域と地域を連携する」を掲げている。また、19日には、「まち・ひと・しごと創生会議」の第1回会合が開かれ、民間有識者からの発言と意見交換等が行われた。なお、創生会議では、「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の結果概要が公表され、「東京在住者の4 割(うち関東圏以外出身者は5 割)が地方への移住を検討している又は今後検討したいと考えている」等が示されている。
経済財政諮問会議の「政策コメンテーター委員会」の第1回会合の開催 ~消費増税の扱いなど様々な政策課題への対応と景気動向のきめ細かな把握~
 政府は9月11日に、経済財政諮問会議の下に、有識者議員を会長として設置する専門調査会である「政策コメンテーター」委員会(会長:伊藤元重・東大大学院経済学研究科教授)の初会合を開催した。ここでは、第1回意見集約結果を踏まえた経済財政諮問会議への報告案と第2回意見収集テーマについて議論された。
欧州中央銀行の政策金利 ~0.1%引き下げ~
 欧州中央銀行は、9月4日、政策金利を0.1%引き下げ、0.05%とすることを決定した。報道では、デフレ懸念が高まっており、追加利下げで景気と物価のテコ入れを狙うとされている。
沖縄県内の主要ホテルの稼働状況 ~客室稼働率が上昇、観光客数が好調に推移~
 沖縄振興開発金融公庫から「2013年度県内主要ホテルの稼働状況」等が公表された。これによると、沖縄県内の主要ホテルをシティホテル、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルの3タイプに分けてみてみると、客室稼働率は全てのタイプで前年度を上回った(+4.3%ポイント~+5.7%ポイントの上昇)。一方、客室単価は、宿泊特化型ホテルでは+3.0%上昇し、シティホテル、リゾートホテルでは、各々△3.4%、△1.1%下落した。景気回復に伴う国内需要の拡大、南ぬ島石垣空港の開港、路線拡充、円安による外国人観光客の増加を背景に入域観光客数が好調に推移しているとのことである。
世界の競争力ランキング ~日本は第6位とアジアではシンガポールに次ぐ順位~
 世界経済フォーラムから「(世界)競争力ランキング」が公表された。日本は、全体では、第6位となっているが、政府負債のGDP比の項目では、実質最下位の143位。なお、全体で第1位はスイス、第2位はシンガポール、第3位はアメリカ合衆国で、以下、フィンランド、ドイツと続く。日本の次は香港。
改造内閣の基本方針の決定 ~「誇りある日本」を取り戻すため施策の推進~
 9月3日の内閣改造後の初閣議において、頑張った人が報われる、「誇りある日本」を取り戻すため、内閣の総力を挙げて取り組む基本方針が決定された。「1.復興の加速化」「2.経済の再生」「3.地方の創生」「4.「女性が輝く社会」の実現」「5.教育の再生」「6.暮らしの安心確保」「7.外交・安全保障の立て直し」の7項目。また、(各府省の公務員に対し)行政のプロとしての誇りを胸に、全ては国家国民のため、自らの判断で、政策立案に当たっては積極的に提案し、現場にあっては果敢に行動してもらいたい、とされている。
平成27年度概算要求・要望額の状況 ~各府省併せて100兆円を超過~
 財務省から「平成27年度一般会計概算要求・要望額」が公表された。これによると、各府省から財務省に提出された平成27年度一般会計の概算要求・要望額の合計は、101兆6,806億円となり、26年度予算額を5兆8千億円弱、上回るものとなっている。そのうちの重点施策に配分する特別枠は、3兆8,758億円。なお、府省別では、国土交通省が「要望額」を最も多く要望しており、要求額と併せて、26年度予算に比較して9,259億円増額となる要求・要望となっており、次で、「要求額」の増額が多い厚生労働省が要求・要望額を合わせて、26年度予算比で9,258億円増額となる要求・要望となっている。
平成26年8月の新車販売状況 ~前年に比べ販売台数は低迷~
 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会から8月の新車販売台数が公表された。これらによると、普通・小型乗用車、普通・小型貨物車にバスを加えた販売台数は、206,606台で前年同期比△5.0%のマイナスとなり、軽自動車販売台数は、乗用車・貨物車合わせて、126,865台で同△15.1%の大幅なマイナスとなった。なお、軽自動車販売は昨年8月は過去最高を記録していた。
今後の土地問題を考える研究会
目的 人口減少、市街地縮退時代の土地利用計画の在り方とその実現手段について、計画およびルールの側面から研究を行う。
メンバー 小林重敬(座長、東京都市大学教授)、大村謙二郎(筑波大学名誉教授)、
鎌野邦樹(早稲田大学教授)、中井検裕(東京工業大学教授)、
中城康彦(明海大学教授)、横張真(東京大学教授)
開催状況 開催日 内 容
第12回 2014年
研究会の取りまとめについて(予定)
今後の土地問題を考える研究会 広域レベル検討部会
目的 ・都市圏レベルの空間構成の中で土地問題を考える
・マクロな空間制御手法による土地対策を考える
メンバー 大村謙二郎(部会長、筑波大学名誉教授)、中井検裕(東京工業大学教授)、
横張真(東京大学教授)、姥浦道生(東北大学准教授) 角松生史(神戸大学教授)、
瀬田史彦(東京大学准教授)、森本章倫(早稲田大学教授)
開催状況 開催日 内 容
第7回 2014年
9月29日
・都市再生特別措置法(立地適正化計画)についての報告および議論
今後の土地問題を考える研究会 地区レベル検討部会
目的 ・地区レベルの空間構成の中で土地問題を考える
・ミクロな地区レベルの空間制御手法で土地対策を考える
メンバー 鎌野邦樹(部会長、早稲田大学教授)、小林重敬(東京都市大学教授)、
中城康彦(明海大学教授)、雨宮護(筑波大学准教授)、大沢昌玄(日本大学准教授)、
名和田是彦(法政大学教授)、吉田克己(早稲田大学教授)
開催状況 開催日 内 容
第7回 2014年
9月18日
・委員からの報告および議論
第8回 2014年
12月10日(予定)
・委員からの報告および議論(予定)
転換期を迎えた土地法制度研究会
目的 縮減の時代にふさわしい土地利用のコントロール手段の必要性、都市行政と市民、国土計画と都市計画との関係、都市基盤施設をめぐる状況等について、課題の解決に向け、土地法制度の面から基礎的研究を行う。
メンバー 座長:亘理格(北海道大学教授)
幹事:生田長人(東北大学名誉教授)、久保茂樹(青山学院大学教授)
委員:西田幸介(法政大学教授)、野田崇(関西学院大学教授)、
   長谷川貴陽史(首都大学東京教授)、洞澤秀雄(南山大学准教授)
開催状況 開催日 内 容
第24回 2014年
9月5日
・都市計画決定における民主制と参加
第25回 2014年
10月30日(予定)
・委員からの報告および議論(予定)
第26回 2014年
11月27日(予定)
・委員からの報告および議論(予定)
第27回 2014年
12月25日(予定)
・委員からの報告および議論(予定)
第28回 2015年
1月22日(予定)
・未定
民法改正問題勉強会
目的 民法改正問題勉強会は次のような課題について研究を行う。
 (1)民法改正の動向把握(法務省、不動産業界団体、中間試案に対する意見その他)
 (2)土地・不動産問題、不動産業界、不動産実務、行政等に与える影響とその問題点の把握
 (3)対応の考え方
 (4)民法改正後の「ガイドライン」(指針)の必要性、その内容
 (5)民法改正を踏まえた宅建業法の位置づけ、在り方の問題整理
 (6)今後の取り組み体制の在り方
 (7)以上のほか、民法改正問題全般に関すること
メンバー 座長:松原文雄(弁護士、元国交省土地・水資源局長)
委員:松田弘(弁護士)、熊谷則一(弁護士)、小林勇(全宅連常務理事)、
   望月治彦(三井不動産総務部統括)、黒川義典(三菱地所法務・コンプライアンス部副長)、
   藤條邦裕(前土地総研理事長)
オブザーバー:清瀬和彦(国交省不動産業課 課長)
開催状況 開催日 内 容
第15回 2014年
9月30日
・民法改正の論点についての検討
金融緩和期における不動産経済に関する研究会
目的 ・金融緩和の下で、景気動向や金融情勢が不動産市場等にどのような影響を及ぼしていくのかについて、実証的、理論的な研究を行う。
メンバー 座長:倉橋透(獨協大学教授)
委員:清水千弘(麗澤大学教授)、唐渡広志(富山大学教授)、中神康博(成蹊大学教授)
開催状況 開催日 内 容
第2回 2014年
9月19日
各委員からの研究報告および討議
●特集 土地利用の今日的課題
 土地利用計画制度の改革の必要性と計画体系のあり方 水口 俊典 
(芝浦工業大学 名誉教授 
・土地利用計画制度研究会)
 都市と農村の有機的連携と土地利用方策 鈴木 浩 
(明治大学 客員教授・
福島大学 名誉教授)
 DID指標にみる都市縮小の現況とその特性に関する研究
-地方都市の線引き都市を対象として-
浅野 純一郎 
(豊橋技術科学大学 准教授)
 市街地の外側で今後考えていくべき土地利用制度とは?
-3つの視点から我が国の土地利用制度が取るべき方策を考える-
松川 寿也 
(長岡技術科学大学 環境・建設系 助教)
 被災3年後の復興における土地利用計画的課題
-超低密市街地の汎発-
姥浦 道生 
(東北大学 准教授)
寄稿
 グローバル及び日本の不動産市場概観とアジア富裕層による
マンション投資動向
赤城 威志 
(JLL リサーチ事業部長)
佐藤 健太郎 
(JLL 
インターナショナルプロパティセールス 
シニアマネジャー)
連載 日仏の地区詳細計画の意義と実態【 第2回 】
 日仏の地区詳細計画における比較の視点 内海 麻利 
(駒澤大学 法学部 教授)
研究ノート
 不動産の譲渡所得税制等をめぐる若干の整理と研究 荒井 俊行 
(一般財団法人 土地総合研究所 
専務理事)
 地域別不動産価格指数の活用可能性
-金融政策効果の分析における地域データの適用事例から考える-
大越 利之 
(一般財団法人 土地総合研究所 
研究員)
講演録
 第178回定期講演会 講演録
「土壌汚染地の保有と対策・費用」

*資料はこちら
森島 義博 
(明海大学 不動産学部 客員教授)
八巻 淳 
(清水建設株式会社 土壌環境事業部 工事長)
 第179回定期講演会 講演録
「平成26年版 土地白書について」

*資料編はこちら
河田 浩樹 
(国土交通省 土地・建設産業局 
参事官(土地市場担当))
*土地総合研究2014年秋号は11月末刊行予定
【募集】 第181回定期講演会
講師:石澤卓志氏(みずほ証券株式会社 経営調査部 上級研究員)
日時:平成26年10月15日(水)14:00~16:00
場所:ニッショーホール

こちらのフォームからお申し込みください(参加無料)
【募集】特別セミナー
題目:不動産投資のためのファイナンス入門
(1日目:第1部)不確実な世界と資産の価値
(2日目:第2部)資金調達と資本コスト
講師: 前川 俊一氏(明海大学 不動産学部 教授)
日時:(1日目:第1部)平成26年11月5日(水) 13:00~16:45
   (2日目:第2部)平成26年11月6日(木) 13:00~16:45
参加費:(一般の方)3,000円
    (賛助会員)無料
定員:30名
場所:ニッショーホール

詳細はこちら
【予告】第182回講演会
講師:大久保 昭佳氏(大久保税理士事務所 相続税専門 税理士)
日時:平成26年12月1日(月)
※ お申込みの受付開始は、10月31日(金)を予定しております。
定期講演会講演録公表
 土地総研ホームページに過去の講演会講演録を掲載しております。
 
   定期講演会 講演録  
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